1月28日(水)
トルコ絨毯のお店でコヒーを振る舞われた。
たくさん砂糖を入れるのが美味しいのだと
不揃いの大きさの角砂糖を山ほど入れようとするので
あ、ひとつだけで結構ですと私は言い、
別の客は砂糖など要りませんと断り
ある人はどうしょうかと思巡らすので
店主はとうとう砂糖壺をそばに置いて
勝手に入れて下さいと接客を投げ出してしまった。
コヒーの味はなつかしい50年前の焦げた豆味がして
舌の記憶に涙が流れるほど、、、。
古びた戸棚の奥から
密かにくすねて飲んだ缶入りコーヒーの味。
学生時代、神楽坂の「ウインドゥ」や冨士見坂教会裏の「ルノアール」
外堀通りの「人形の家」で飲んだコーヒーはとろりと濃くて苦く
それにたっぷりのミルクと砂糖を入れて飲んだ。
授業から授業の空き時間をつぶす為に。
店の名前は覚えているが、一杯幾らだったかは忘れてしまった。
静かな音楽の流れるほの暗い空間で
一体何を考えて生きていたのかさえも今は定かでない。
結婚してからの我が家のコーヒーの味は
J氏が卒業旅行に放浪したアメリカ風。
ここのところ人生に閑けさが生まれたので
粗挽きのキリマンジャロをドリップで淹れて
冬の朝の澄み切った空気を琥珀色の香りで満たす。
コーヒーポットに溢れるほど淹れたコーヒーを
手作りのポットカバーの下にもぐらせ
一匹の白猫と夫と
共に暮らした歳月を
この香りが思い出させてくれるに違いない。
時がたてば、、、、。
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