人間を閉じ込めておくのに鉄格子はいらない。
細い銀の雨を降らしておけば人は部屋の中に封じ込められ、やがて腐ってい
く。とまで思ってしまった今年の梅雨空だった。
春を失してしまった私は、季節に疎外された感さえあってなかなか戸外に出る
事も出来ずに居たが、さすがに7月も20日過ぎの雨は辛いものがあった。
気分を変えに脱出した長野も激しい雨であったが、幸い山荘を借りた白馬
の方は川の氾濫や土砂崩れも無く、時折は日も差す天候に恵まれ文字どおり
緑滴る風景の中を散策する事が出来た。
誕生日は百万灯祭りで賑わう川越で家族が祝ってくれた。
夏の暑さが目覚めたような日であった。
昨日は広島の原爆忌。
戦後生まれの私は、子供と共に「丸木美術館」を訪れたり、「はだしのゲン」
「ひめゆりの塔」などの映画で追体験するしかなく、子どもには当時悪夢にう
なされて眠る事が怖かったと、今でも時折言われる。
それでも、戦後61年が経ち、平和への熱い思いが風化されていっているよう
で少し心寒い思いをする事がある。
突然やって来た夏に自然界はなにやら慌てふためいているようだ。
遅い夏と早い秋がごちゃ混ぜになったような2006年 盛夏。
法師蝉 鳴き初む朝の原爆忌
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