3月19日(月)
真っ先から写真の説明で大変恐縮では御座いますが、実はこれは一週間ほど
日に干した柚の皮を、粉に砕いている過程の写真なのです。
パリパリに乾いた皮をこうして、チョキチョキと石の棒で突付いておりますと
柚の香りがたちこめて何とも安らかな心持になってくるのです。
風邪を引いてまだ軽い咳の残っている私にとって、柚の爽やかな香りはなかな
かの癒しなのでございます。
梶井基次郎の作品に「檸檬」というのがありますね。
あの「檸檬」の主人公私は肺尖カタルを病んでいるんですね。
そして、ついぞ胸いっぱい空気を吸い込んだ事のない「私」が檸檬を手にする
事で、胸いっぱい深々と檸檬の香りを吸い込み、体や顔に温かい血のほとぼり
が昇ってきて、何だか元気になるのです。
その結果、小さな爆弾のような檸檬を、丸善の本棚に仕掛けてくるというお茶
目な事をしてしまうというお話です。
香りの力で丸善がこっぱ微塵になるという、恐ろしいような愉快なようなお話
です。 それにしてもこの香りをお届けできないのが残念でございますよ。
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